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【コラム】医事課はどこまで患者に寄り添うべきなのか?

コラム

少し前のことですが、とある病院の医事課にしばらくお邪魔していたことがあります。
しばらく、といっても10日ぐらいで、仕事はシステム操作に関する問い合わせ対応でした。

病院の規模は200床未満。一般病棟ではDPC請求をしていましたが、それ以外に回復期リハ病棟や療養病棟などがあるケアミックスの病院でもありました。
医事課職員は課長を含めて、ぜんぶで10人ぐらい。外来担当が8人、入院担当が2人。

そこは、これまでわたしがみた中で、最もバタバタしている医事課でした。

どのようにバタバタしていたのか?

まず、その病院には専任の電話交換手がいないようで、全ての代表電話を医事課職員が受けていました。
外来は午前・午後ともにみっちりあり、健診もやっています。その時期は新型コロナワクチンの予防接種もやっているようでした。
そのような病院で、あらゆる問い合わせ、他の部署への取次ぎ、予約の変更、健診申し込み、救急連絡などが、ダイレクトに医事課にかかってくるのです。
電話は鳴りやまず、医事課長ですらしばしば電話を取らざるを得ない状況でした。

また、再来受付機や自動精算機もありません。
会計も医事課職員が担当していて、会計窓口に自動釣銭機があるのが唯一の救いでした。

病院の正面玄関を入って、すぐ右側に医事課のカウンターがあり、その奥に医事課の部屋があります。
カウンター内と医事課の間は薄いパーテーションで目隠しされていて、患者は用があればカウンター上のベルを鳴らします。
医事課の中には、紙カルテ時代のカルテ棚が場所をとっていて、その合間を縫うように机と端末が配置されています。
この規模の外来をやっている病院にしては、すこぶる導線が悪いように見えました。

事実、患者の会計待ち時間も長いようで、患者からクレームを受けている場面にも何度か遭遇しました。

想像できるでしょうか?

ひっきりなしに、電話が鳴り、電話の保留音や内線の呼び出し音が鳴り、カウンターのベルが鳴るのです。
そんな中で外来も入院もレセコンで算定操作を行っているのです。

もちろん残業は当たり前です。
特に医事課長は毎日、夜遅くまで残っていました。

そんなに忙しいにも関わらず、医事課職員の方たちの電話対応や受付対応はとても親切で、その忙しさが許す範囲で丁寧でした。

こんなに忙しいのに、どうしてこんなに統制が取れているのか観察していましたが、その理由は医事課長にありました。
この医事課長は女性だったのですが、ほんとうに色々なところに目が届くタイプで、指示や声掛けなどもタイミングよく、厄介ごと医事課に持ち込む医師や他部署の対応もこなしていました。
そして、その合間に代表電話をとり、場合によっては受付対応までやってしまうのです。
彼女はいつでもスニーカーを履いていて、自席を温める間もなく、くるくると立ち働いていました。

こういうタイプのひとは、仕事ができすぎてしまう故に、細かい運用ルールを是としてしまう傾向があります。
リーダーシップがしっかりしているので、他の職員も従ってしまうのです。
そして、逆にこれまであった運用をやめることはなかなかできません。

この医事課では、こんなに忙しいにも関わらず、「特定の請求書は緑色の紙で出す」とか、「処方箋や診療明細書は半分に折って患者に手渡す」などといった細かいルールがありました。
もちろん、いろいろな経緯があってこそのルールなので、外部の人間がそれを無用であると切り捨てることはできません。
ただ、私が個人的に「本当に必要なのかな?」と思っただけです。

その医事課の壁に、「今月の目標」と書かれた紙が貼ってありました。

「今月の目標
  患者様に寄り添う」

医療者の働き方改革や、医療従事者の給与アップが叫ばれていますが、そもそも診療報酬の中に名前が出てこない医事課職員の働き方改革や給与アップは誰が訴えてくれるのだろう?
一般企業の社員より水準が低いとされている医事課職員は、その給与の対価としてどこまで患者に寄り添わなければいけないのだろう?と、少し切なくなってしまいました。

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